最近、「福島第一原発4号機の燃料プールが倒壊するかもしれない。心配でどうしようもない」という声を毎日のように聞きます。
大地震で倒壊する危険性を議論するには、建設関係の専門家の解析が不可欠ですが、残念ながら私にはその能力がありませんので、大丈夫かどうかは論じることはできません。
しかし、危険性を指摘する京都大の小出裕章氏やアニー・ガンダ―セン氏の根拠に問題があり、その言動に惑わされてほしくないと思いこのブログに記します。
小出氏やガンダ―セン氏など、危険だという人たちの主な指摘は、①燃料プールの上に重い天井クレーンなどがあり不安定、②4号機建屋は非常に放射線量が高く、燃料プールの補強工事はきちんとできなかったはず、③4号機建屋の損傷が激しい、④科学の力ではどうしようもなく、大地震が来ないよう祈るだけ・・というものです。
これに対して、
①天井クレーンなど、プールの上部にある重いものは撤去されました。最近はこの指摘はされていません。
②「4号機は定期検査中で原子炉に燃料がなかったため圧力逃し弁を開けませんでしたので、建屋内の線量は高くなかった」と内部に詳しい労働者は話します。また、燃料プール周辺の工事をした労働者は「爆発でオペフロにあった廃棄物も一緒に吹き飛んだので部分的に線量が高いところもあったが、全体的にはそれほど高くなかった。プールの補強工事はしっかりできたと思う」と話してくれました。福島第一原発の放射線量は非常に高いところもありましたが、それほど高くないところもありました。放射性廃液のあるところでは1日に5mSvほど被曝する作業を行った人もいますが、前出のプール周辺の工事をした労働者の被ばく線量は1日に0.1~0.2mSv程度でした。
また、私以上に労働者からの証言を集めているジャーナリストは補強工事をした労働者からも話を聞いており、線量はそれほど高くなく工事はしっかりできたと話していたそうです。
小出氏やガンダ―セン氏は「非常に高い線量で工事がきちんとできなかった
はず」と言っていますが、現場で事実関係を調査せず、憶測での発言は科学者としてあるまじきことです。
③4号機建屋の損傷が激しいのは、写真を見れば誰でも分かります。しかし問題は、プールを支える壁や柱などがどれくらい壊れていたのか、その強度はどの程度かということです。
これについて、東京電力は「使用済み燃料プールの壁や床の部材が壊れていないことを確認しています」としており、前出のジャーナリストも、「補強工事をした労働者は、燃料プールの壁や床が壊れていたということは言っていなかった」と話します。また、内部に詳しい労働者も、「外壁などは吹き飛んだが、内側にある燃料プールの壁や床、さらにその基盤部分は壊れていない」と話します。
東電は補強工事を行い、震度6強の地震で燃料プールなどが壊れる可能性はないとしています。
4号機倒壊の危険性を論じるのであれば、東電の強度解析について問題点を指摘しなければなりませんが、残念ながら私にはその能力がないのでできません。しかし、危険性を指摘する小出氏やガンダ―セン氏も私と同じように強度解析について問題点を指摘していません。科学者・専門家であれば、解析をして問題点を指摘し、その対策を提案すべきであると思います。
④「大地震が来ないように祈るだけ」と小出氏やガンダ―セン氏は言いますが、科学者・専門家であるなら祈るのではなく、補強工事などの対策を提案すべきではないでしょうか。東電は実際に補強工事をしているのですから、その手法ではどこに問題があるのかを具体的に指摘し、よりよい対策を提案すべきです。
科学者・専門家であるのなら、具体的事実に基づいて問題点を指摘し改善を求めるべきです。東電が資料の公開を充分にしていないのならそれをまず求めるべきです。4号機の燃料プールの危険性を指摘する小出氏やガンダ―センにはその姿勢がなく、国民を不安にさせているだけのように感じられます。
私たちは、4号機に限らず、第一原発も、第二原発もコスト削減で必要な作業が大幅に遅れていること、働く人の待遇が悪く熟練労働者が集まらなくなり事故収束作業にも影響が出ていることを指摘し、その改善を求めています。
事実に基づかず、不安をあおる発言は、一時的には原発は怖い、原発をなくそうという世論を大きくするでしょうが、中長期的には、原発の本当の危険性を指摘しても信用されなくなり、原発をなくそうという運動にマイナスになると思います。
危険性を事実に基づいて指摘し原発をなくしていくことこそが必要だと思います。